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【書き下ろしⅠ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説(連載②/8)

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AI 金庫の贈り物

~BAR ハニー エル・ドラード編~

作:神月 無弐

◆これまでのあらすじ◆
なんの目的も希望も持たず平凡な人生を送ってきた営業サラリーマンの主人公。エル・ドラードが見えるとネットで話題になったカクテルに興味を持ち、初めてBar ハニー エル・ドラード を訪れる。が、そこで待っていたのは実に奇妙な体験だった・・・

▷【書き下ろしⅠ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説(連載①/8)

 

第1章 酔悦 ②】


「お客様、どうかなされましたか」

見回すと元の店内だ。マスターと さっきからいたカウンターの女が心配そうにのぞき込んでいた。どうやらいつの間にか意識が飛んでしまっていたらしい。

息だけが荒いが不思議と全身の疲れが取れて若返ったようにチカラがみなぎっている。(これはもしかしてヤバいドラッグでも盛られたのか!?)見回しても煙や香り、粉などと思われるようなものは何もない。カクテルが出来上がるまでずっと手元を見ていたのだからマスターがドラッグか何かを入れたことも考えにくい。落ち着いて頭を整理ししてみる。
カクテルを頼んで・・・黒いカードを広げて・・・そうだ!
「 マスター、あの子を、 いや、あのカードを」
混乱していた。
カウンターにおいてあったそのカードをあわてて開く。この写真の女の子が・・・変わらない寂し気な少女の写真。いくら触ってみても写真は写真でしかない。(いったい何だったんだろう)キツネにでも化かされた気分というのはこういう事をいうのだろう。

「エル・ドラードにはたどり着けましたか?」
とマスター。まるで事情を知っているかのように落ち着いた声だった。
「あれは何ですか?」
「テキラーの量が少し多かったでしょうか。入口にお立ちになるあなた様を初めて拝見した時、女性問題で悩んでらっしゃる印象がありましたのであの写真をお選びさせていただきました。長年この商売をしていると感じてしまうものなんですよ。」
「いや、あの、・・・」
「ああ、ご心配は無用です。私には難しいことはよくわからないのですが、世界各地で入手した貴重なハチミツの成分の中には一次的に気分を高揚させる作用があるものもあるようだと専門家がサンプルを調べておっしゃっていました。もちろん、法に触れるようなものではありませんのでご安心ください。」
(今そんな話はどうでもいい。あの人に会えたのだから。。。なぜ、ユイがあそこに居たのか、そもそもあの子はユイなのか、確かめたい。もう一度 行かなきゃ)
「じゃなくて、 さっきから気になってるんです。マスターの後ろの壁に埋め込まれているキューブ型のケース」
まさに、あの時 少女が指さしたところには、見慣れないオブジェのような立方体があったのだ。
「ああ、お気づきでしたか。これは AI-金庫 です。」
「AI-金庫?」
「人工知能AIの最新技術を使ってロックの施錠/解錠を行える金庫です。半年ぐらいになりますでしょうか、最上級のハチミツを狙って空き巣に入られることが何度か続きました。当店にとっては宝のようなものなので毎日自宅に持ち帰っていたためハチミツは無事でしたが警察の調べでは、当店のカクテル(ハニー エル・ドラード)であなた様と同じような悦楽の体験をなされ病みつきになった方や噂を聞きつけた悪い輩たちが争うように奪いにきた可能性が高い。いくら商品とはいえ慎重に取り扱うべきだと大目玉を食らってしまいましたよ。(苦笑)」
「ということは、中身は?」
「はい。究極のカクテル 【ハニー・アルカディア(Honey Arcadia =最愛の理想郷)】 のレシピ と 至高のハチミツ 【黄金百花蜜 (おうごんひゃっかみつ) 】です。残念ですがハチミツもあと数杯分しかありませんし、持ち歩くことで私の身に危険がおよぶことも否定できませんので金庫で保管することにしました。」
そういうとマスターが金庫に触れた。
すると指紋認証だろうか、いきなりケース全体が化学変化を起こしたかのように一瞬で透明になった。
「わぁっう!! 」
(驚いた)
中には、レシピと思われる二つ折りにされた黄金色のカードと50ml入りのアンプルに入ったハチミツが3本 小さなトランクケースにきちんと納められて浮かび上がった。さらに聞いてみると写真を撮りながら世界各国を飛び回って得た情報では、エル・ドラード(黄金郷)と日出ずる黄金の国ジパングは何らかの因果を持って理想郷への門番の役目を成しているらしいこと、黄金百花蜜はエル・ドラードとジパングを往き来していたとされる最古のニホンミツバチから採取されたもので、ミツバチは普通1種類の花の蜜を集めるのだが、この黄金百花蜜はニホンミツバチによって様々な花の蜜を何らかの意思によって神がかり的にブレンドされるように集められたという超レアもの。このハチミツ無くして究極のカクテル【ハニー・アルカディア(Honey Arcadia) 】は作れない。ハニー アルカディア を味わうことができた者にだけ、一見何の変哲もない金色のレシピカードに夢の続きのようにイメージが浮き上がって、再び黄金の理想郷に導いてくれる。
「よって、エル・ドラードへの地図であり、カギであり、チケットだとも言えます。」
とのことだった。
ということはハニー アルカディアを飲めるチャンスはあと数回。誰かに先を越されてしまったらもう究極のカクテルを飲むことも、あの子、いやユイに会うこともできなくなるだろう。
これは絶対に逃せない。
「僕に その究極のカクテルを作っていただけませんか?」
「・・・それが・・・できないのです。」
「どうして?」
「このAI-金庫は世界一のセキュリティが売りで、一度 解錠方法の条件を決めてしまうとそれが充たされるまで絶対に開けることはできないんです。」
「条件?!」
「はい。難しいことではありません。写真です。」
「写真?」
「はい。エル・ドラード(黄金の理想郷)のイメージは人みな違います。そのためにより理想とするエル・ドラードのイメージを平均化したくて多くの画像データを蓄積しながら同時に金庫のAIに解析させようと思ったのです。
元プロカメラマンである私のライフワークの相棒ってことになりますね(笑)」
「う~ん、写真といわれても僕は素人だし。」
「大丈夫です。多くの視点からのデータの方がいいに決まっています。AI-金庫と対になっているこのアプリをケイタイに DL(ダウンロード)して10,000 pt(ポイント)分の写メを貯めるだけです。人物もしくは体の一部が一緒に写っていれば、物、風景、動物、天気、日常、ジャンルは何でもかまいません。」
「写メかぁ」 「もちろん画像データであれば、一眼レフカメラ、デジカメ、PCなどで撮ったものでも構いません。」
「1枚×1ptとすると10,000枚が必要なわけですね」
「いえいえ、そうとも言えません。撮った写真はこのアプリを通して転送した時点でAI-金庫が瞬時に過去データからポイント換算し、記録してくれます。写真の内容によって 1pt 〜 1,000 pt まで様々です。基準は私にはわかりません。AIの個性としか。」
「開けた人はいるんですか?!」
「ええ、何名かいらっしゃいます。政治家、女性社長、医師、弁護士、パイロット・・・、ハニー アルカディア で黄金の理想郷をご覧になった方、みなさん生活が一変されています。」
「普通の人間じゃだめなんですか」
「いいえ、資格などいりません。たまたまです。ただし、期限はDLした日から2週間です。」
(あの子が、ユイが待ってる。どうしても、もう一度エル・ドラードに行きたい。そして、確かめたい。チャレンジするしかないだろう。それが男ってもんだ!)
「やります。やらせてください!エル・ドラードに会いたい人がいたんだ」
「ほー、わかりました。お止はしません。ですが、2週間て意外に短いですよ。みなさん苦労なされていました。」
「それでもやらなきゃ。僕、あの子と変わりたいんだ!アプリのDLお願いします。」
僕は迷わずスマホをマスターに向けてカウンターに置いた。

★初日  23:00
会計を済ませて帰路につきながら、期限2週間で14日間ということは1ptなら1万枚÷14日間で1日× 714枚、10ptなら 1,000枚で1日 × 71枚、100pt なら 100枚 で 1日 × 約7枚のペースかぁ。
さて、何を撮ろうか。いざ撮ろうとすると意外に考えてしまう。駅の人混み、スマホでゲームに夢中の若者、道端に座りこんで大騒ぎしている女子高生、酔っぱらって肩を抱えられてるサラリーマン。(今まで気がつかなかったけど、街はいろんな人であふれてるんだな)
とりあえず被写体からやや離れたところからファインダーに人物を捉え10枚ほどシャッターを押してみた。
「アプリを起動して、送信っと」
これで良し。わずか3秒後、携帯にメッセージが点滅した。

【ご登録を承認いたしました。現在10枚10pt-解錠充填残 :9,990ptです】
やっぱそっか、1ptねえ。10pt、100ptってホントにあるのかな?とりあえずは枚数を稼ぎながら傾向を見つけていくしかなさそうだ。

部屋に戻って、今日起こった出来事を振り返って自分なりに咀嚼した。そして、僕はたまらなくなって大人になったあの子、いやユイの姿を思い浮かべてなかなか寝付けなかった。(早く愛しあえたらいいのに)

 

つづく

 

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