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【書き下ろし連載④/8】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2▷共通の知人

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共通の知人

作:神月 無弐

◆前回までのあらすじ◆
オフ会当日ハジメは、はやる気持ちを抑えきれずに時間よりも早く待ち合せ場所に到着する。約束の時間を1時間過ぎても連絡すらないままアユミはこない。「いつもこうだ。女を信じるとろくなことがない」ハジメは女性不信に陥り自暴自棄になるが・・・

▷【書き下ろしⅡ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2(連載①/8)
▷【書き下ろしⅡ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2(連載②/8)
▷【書き下ろしⅡ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2(連載③/8)

 

第2章② 女難


結局、最近読みだしたサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を肴に一人飲みで2時間ほど粘ってその店を出た。

まだ22:00前かTSUTAYAにでも寄って行こうか。
109の前から駅に向かって下り坂を歩き始めた時、脇道からいきなり手をひかれた。
「スミマセン チョット タスケテ クダサイ」
そこそこ流暢ではあったがたどたどしい日本語を話す東南アジア系の超絶美人だった。
「どうしたんですか?」
「ムネガ クルシイ ノ。チョット サスッテ モラッテモ イイデスカ?」
確かに呼吸が乱れているようだ。困っている人は見過ごせない。僕はしゃがみこんだ女性の背中をさすってやった。
「大丈夫ですか?」
しばらくすると
「ゴシンセツ アリガトウ。ドコカ ヤスメルトコ ナイカ?」
この時間では病院はムリだ。家は電車を乗り継がなければ帰れない。それに両親と同居の身だ。
この辺だと僕が連れて行けるのはマン喫かラブホぐらいしかないが。。。
(こんな時に不謹慎だが、この先出会うこともないだろう超美人さんとなら一晩一緒に過ごすのも悪くない。)
病人なのに円山町のラブホを思い浮かべて一刻も早く行きたいという不埒な考えが浮かんだ。
アユちゃんにフラれて誰でもいいから一緒にいたい気持ちが強かったのかもしれない。
一瞬、躊躇もした。
こんな偶然がそうそうあるわけないのはわかっている。もし、悪い仲間がいるなら少し一緒に歩けばわかるんじゃないかと考えた。そして少し遠回りにはなるが肩を貸して交番の方を目指して歩き始めた。
とくに怪しい様子も誰かにつけられてるような気配もなかった。
途中、街路樹に守られて少々暗がりになっているベンチがあった。
「ココデ スコシ ヤスマセテ」
僕はそっと体を支えて座らせてやった。すると
「アリガトウ コレ オレイ ネ」
といって、胸が大きく開いたミニワンピの上から僕の右手を豊満な胸に誘導した。
(何?!)
理性は働くものの本能は抑えられない。反射的に開いた手のひらを閉じるようにゆっくりと指を折り曲げていくとその弾力はゼリーのように壊れてしまいそうに弾んで、手のひらを押し上げてきた。
(悪いことのあとには神様からのお恵みがあるってことなら大歓迎だ)
都合のいい勝手な妄想を繰り返す。
でも、やはりここではまずい。
「NO,NO,NO こんなとこでダメです」
「コッチ カ? イイデショ」
僕の言葉を聞き違えたのか、今度は左手を掴んでミニ丈のスカートの腿にのせた。
「そうじゃなくて・・・」
ちょっと熱を帯びた艶めかしい温もりとメス特有の匂いが一気に押し寄せて、僕の頭はオーバーヒートしそうに興奮した。
(ダメだダメだダメだ。でも我慢できない。ここまできたらもう少しだけ)
「コレイジョウノ イイコト デキル ヨ イッショニ キテ」
(やっぱりそうか、仮病をよそおった娼婦だったのか!?)
ピカっ、カシャッ!
その直後だった。
どこからともなく男が一人現れた。
「はい、そこまで。キミたち公然でわいせつなことしてましたね。証拠撮っちゃったから」
全身ブランド服でキメた高学歴ヤクザのような隙のないいでたちで、やさしい静かな口調が怖さをいっそう募らせた。
やられた。。。
嫌な予感は的中してしまった。
僕は頭が真っ白になった。一気に悪寒と嫌な汗が吹き出して一瞬パニックになった。
(スケベ心を出してしまったばっかりに。どうしよう)
「ねえ、気持ちよかったかい。じゃ、この写メ持って警察行こっか。良い子は自分がしでかしたことはしっかりと自分で尻拭いするもんだ。ははは」
「それだけは、勘弁してください。まだ学生なんです」
「だから?それがどうした。
お前さっき酒飲んでたんだから未成年じゃないだろう。てことは立派な大人だよなあ。やっていいことと悪いことぐらい分別つくだろうが。なんなら先に家に連絡取ってもいいけど。」
(コイツ、さっきの店から僕をカモにしようとしてたのか)
アユちゃんのことで投げやりになってすっかり油断していた。甘かった。
「ごめんなさい。何でもします。写メ消してください。お願いします。」
「おい、コイツこんなこと言ってるけどどうする。」
(やっぱり仲間か)
「ソウネ ケッコウ ヤサシイ トコモ アッタシ、カワイイカラ アリガネゼンブデ イイヨ」
「ちぇ、許すのかよ。俺の女に手出しあがって。財布とカード類あったら全部出せ」
僕は言われるがままにリュックから折りたたみの財布を取り出して渡した。
現金は今日デート代として引き出しておいた3万円のうちさっき居酒屋で払った残りだけ。カードは持っていない。
「時化てるな。毎度。それなりにいいことしたんだから高級風俗でも行ったと思ってあきらめるんだな。
じゃ、写メ消すぞ。俺は約束を守る男だからな。見てろ」
男はケイタイを操作すると画像の消去ボタンを押した。
ピッ!
<画像が消去されました>
「いいか、俺達のことチクるんじゃねーぞ。もし街であっても知らん顔しろ。いいな」
「は、はい、わかりました。ごめんなさい」
こんな時、なんで謝ってるんだ。
(自分が情けなかった)
とにかくその場から離れたくてダッシュした。
まだ心臓がバクバクしている。カラダが無傷だっただけマシかもしれない。
意外にあっさりと許してもらえてよかった。あの美人のおかげか?って、悪党じゃないか!男ってヤツはどこまでバカなんだ。というより自分か。
ともかく人生を棒に振るような最悪の事態だけは間逃れた。

 ひどい目にあった。酔いは一気に覚めてしまった。
渋谷駅に戻って小一時間かけて自宅に戻る。どこをどう歩いたのかも覚えていない。
家が見えてきた。
平然を装ってはみるが震えが止まらない。きっと顔面は蒼白だろう。涙が出そうになる。
(もし話がこじれてあの写メが流出でもしてたら・・・)
恐怖が今頃になってまた襲ってきた。
ましてやこんな話、親には相談できやしない。
深呼吸して空を見上げる。
やけに綺麗な星空だった。なんだか星にまであざけり笑われてる気がした。
「畜生、ツイテない。不幸の星の下に」か (苦笑)
がんばれ、自分。

「ただいま」
「ハジメ、遅かったじゃないの。休みの日ぐらい夕飯いるかどうか連絡くれなきゃ。母さん困っちゃうでしょ」
「そんなこと。うっさいな、ほっといてくれよ。もう子供じゃないんだから」
「何言ってんの。一緒に住んでるんだから礼儀ってもんよ。大人だったらそれくらいわかるでしょ」
「今はそんなこと言われたくない」
「じゃあ、いつならいいのよ。遊んでばかりいないで少しは素直になりなさい。」
「そんなに子ども扱いばっかすんなよ。もういい」
「何がもういいのよ。ちゃんとしなさい」
「だから わかったって言ってるだろう。 もう解放してよ!」
「どうしたのよ。そういえば顔色よくないわねえ。何かあったの?」
「いいから、ほっといて!」
僕は逃げるように自分の部屋に閉じこもった。
言われなくても全部わかってるさ、そんなこと。
僕がもう少し大人で注意深くしていれば今日のようなこともなかっただろう。
自分が情けなくて悔しくて・・・
何も知らないくせに
傷口に塩を平気で塗るような言葉のナイフに、つい反抗してしまっただけだろうが。
なんなんだいったい
どいつもこいつも女ってヤツは
うお~~っ
僕は布団にもぐって思いきり泣いた。

 

― つづく ―

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