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【書き下ろし連載⑧/8】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2▷共通の知人

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共通の知人

作:神月 無弐

◆前回までのあらすじ◆
共通の知人Yumeさん立会いのもとハジメの告白に返事をしようと決めたアユミ。待ち合せ場所に現れた共通の知人は2人いた。翻弄されるハジメとアユミの運命・・・衝撃の結末はいかに・・・

▷【書き下ろしⅡ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2(連載①/8)
▷【書き下ろしⅡ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2(連載②/8)
▷【書き下ろしⅡ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2(連載③/8)
▷【書き下ろしⅡ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2(連載④/8)
▷【書き下ろしⅡ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2(連載⑤/8)
▷【書き下ろしⅡ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2(連載⑥/8)
▷【書き下ろしⅡ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説2(連載⑦/8)

 

第4章 ② 罪と罰


「私が説明するわ。残念だけど私たちが運営するあのアジア圏旅行情報サイトは負債があってね。
マスコットキャラクターのグッズなんかの売れ残りとか。そう、少しばかり調子に乗って作りすぎちゃったのね。肩代わりをしてくれる会社は見つかったんだけど、中国の企業でね。融資を受ける条件として、どちらか一方が中国に移住してサイト運営の立て直しとノウハウを引継ぎしなければならないの。3年間もね。
それでね、どちらが行くかって話し合ったんだけど答えが出せなかった。
しかも返事を明日までにしなければこの話はなかったことになっちゃうんだ。
そんな時よ。あなたたち二人から別々に恋バナの相談もらってさ。
でもね、ほぼ同時だったからお相手がハジメ君とアユミちゃんということはすぐにわかったわ。
せめてサイトの利用者さんには幸せになって欲しくてね、私はなんとか成就させたいと思ったわ。一生懸命アドバイス メール書いてたのを久住に見られちゃってね。
ホスト上がりの久住(久住雄大 [クズミ ユウダイ])は『そんな恋愛妄想にとらわれてるから現実が甘くなるんだって』大喧嘩しちゃった。
それで、久住が思いついたのよ。
勝手なんだけど移住も喧嘩も決着はお客様に委ねようってね。」

「美優紀は健全なサイト運営のために管理人とは別のアカウント:Yumeでミステリーショッパー(覆面調査)的なお客様対応をしてたから、そのアカウントを共有して賭けをしようってな。俺にとってはいま流行りの裏アカウントってやつを使っての「天国と地獄 選択ゲーム」さ。恋愛成就と別れ、期限までにたどり着くゴールはどちらか?ルールは簡単。美優紀は二人を恋人同士へ、男の俺は女として美優紀に成りすまして別れの方向へ誘導する」

「あの時ハジメ君はもう、告白していたから私が恋愛指南を、久住はホスト時代の経験を生かして上手くアユミちゃんに恋愛関係をあきらめさせるように仕向けるの」

「二人が試練を乗り越えて今日の時点でもし、恋人になれたら俺が、別れてしまったら美優紀が中国へいく。」

「私の勝ちね」

「やっぱズルしたのが失敗だったか。ハジメ君には女で天国と地獄見せて、アユミちゃんにはウイルスのプレゼントで伏線も張っといたんだけどな。人間はみ~んな寂しくてエロくてひとりじゃいられないってことか。結局、くっついちゃうんだから」

「じゃ、あの日、アユミが集合場所に来れなかったのも、東南アジア系の美人局もみんなあんたが裏で糸を引いてたってわけか」

「そう、み~んな俺のお友達。念には念を入れたんだ」

「ひどい人。本人たちを目の前に全~部言っちゃうんだ」

「騙したまま最後まで嘘をつき続ける方がよっぽど悪いだろ」

「ネットの世界のことなんだから、現実でツケをはらう必要はないんじゃないのと思っただけよ」

「いいじゃないか結果はみんな幸せのハッピーエンドだったんだからさ。
今回は、美優紀、キミの勝ちだ。おめでとう!中国には俺が行く。愛は地球を救うか、向こうの女でも幸せにしちゃおっか、はははっつ」

「ふざけんな~っ!!
そんな、そんなことのために、あんた達の身勝手な理由のために僕たちは振りまわされていたのか!!!(怒)」

「オイオイそんなことって、俺たちにとっちゃ、死活問題なんだぜ。なあ」

「・・・。」

「畜生、どっちもクズだ」

思わず立ち上がっていた。

「もういいよ。もうやめて」

「なんでだよ。こいつら」

「いいんだってばぁ!!
勝ちでも負けでもないよ。
だって私はLGBT(トランスジェンダー)のニューハーフなの。からだには投資をして手術もしたわ。だから今は外見は女、でも生まれた時は男。今日はハジメくんに本当のことを告白して判断してもらうために来たんだ。
だからこんなゲーム、最初から成立しないのよ」

えっつ!
頭がついていかない。

「ハジメくんごめんね。なかなかOKの返事ができなかったのはそういう事。Yumeさんに立ち会ってもらえば、ハジメくんにたとえどんな反応されたとしても心強いし、その場でアドバイスもらえると思ったから!それなのに・・・」

「へえ、こいつは面白い。おかまの嘘つき野郎に俺達もまんまと一杯食わされたってことか。ははは。美優紀ご苦労さん。ドローだ」

「黙れ!自分たちのことばっか。じゃあ僕は、バーチャルでもリアルでも騙されたったことか。笑えるだろ。ほら笑えよ」

「ハジメくん、そうじゃない。言わなきゃっていつも葛藤してた。でもね、変わり者扱いされ続けて人を信じられなくなってしまった私を無条件に認めてくれたハジメくんとの関係を終わらせたくなかった。今度こそ言わなきゃって思ってるうちにハジメくんの優しさに甘えてしまって・・・
今日までタイミングを失っちゃったの。トランスジェンダーは恋しちゃいけない?好きな人とずっと仲良くしていたいって思っちゃいけない?恋は女の特権なのかな?こんなできそこないの なんちゃって女なんて嫌よね。」

アユミは泣き出してしまった。

「・・・アユミ」

それまで黙って聞いていたYume(美優紀)さんが声を発した。
子供を諭す威厳のある母親のような声で。

「性別なんか問題じゃない。ネットの世界には固定観念とか男と女の判別とか必要ないもの。大事なのは実在する人間かどうかだけ。二人が思い合って惹かれていく純粋な気持ちは本物だった。だから私もあなたたちに心底から幸せになってもらいたいと思った。そして二人は現にここに存在している。誰かが創りだしたバーチャル人間でもウイルスでもバグでもない。
これからもう一度自分をさらけ出して時間をかけて決めていけばいい。あなたたちが心で繋がっているのは間違いないのだから。
それから今さらだけど
ごめんなさい。
許さなくていい。
私、中国に行きます。そして3年後、もっと幸せづくりのきっかけになるようなサイトに成長させて戻ってくるわ。犯してしまった過ちは消えるものではないけれど、3年後もし二人がまた私のサイトを訪問してくれた時には正真正銘の「共通の知人」として胸を張れるように頑張ります。
本当にごめんなさい。」

「泣かせるねえ~、好きにすればいいさ。」

「そもそも自分たちのツケの決着をこの子たちにとらせようだなって、ほんとどうかしてた。
目が覚めたわ。久住、行くわよ。」

「どこへ?」

「決まってるでしょ、あんたは警察。やり過ぎたのよ。あんたが仲間に出した美人局の指示メールもウイルスを送信した記録も証拠はたっぷりあるわ。あんたお気に入りの裏アカウントのおかげでね。」

二人はテーブルにあった伝票をとってレジを済ませるとさっさと店を出て行ってしまった。

嵐のあとの静けさか 僕たち二人の空間だけが隔離されたように沈黙を続ける。
アユミはレース付きのタオルハンカチで顔を覆って泣きじゃくったままだ。
それにしてもまったく気づかなかった。
どこからどう見ても、身も心も女だ。神様の気まぐれによる間違いとしか思えない。
どんな言葉をかければいい。
(そういえばYumeさん言ってたな『繋がっていたいなら逃げてないで連絡取らなきゃ。まずはリスタートすることが肝心』だって。)

「アユミ、僕お腹減っちゃった。場所替えておいしいもの食べに行こうよ。」

「えっ」

「大丈夫。はじめからやり直そう」

店内ではジョン・レノンが歌うStand By MeがBGMで静かに流れていた。

 

― 完 ―

 

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