■プレゼン当日
広告代理店のコンペの話です。
前回は「段取り8分」になぞって準備のお話をさせていただきました。
(【心に残る営業秘話】いざコンペ!勝負の前段階で負けないために)
さぁ、プレゼン当日です。
準備は万全でしょうか?泣いても笑っても本番は一発勝負。
ここまできたらジタバタしても始まりません。
・遅刻したらどうしよう
・パワポが動かなかったら・・・
・資料を忘れないか
・緊張して声が震えてしまうかも
・発表中にとちってしまったら・・・
など
不安は尽きませんよね。
そんな時は、準備段階でのスタッフ全員の頑張りを信じて本番に望みましょう!
私がコンペの社内審査員として数多くのプレゼンに立ち会った現場では、突然のPCの不調や思いがけない質問への準備不足など意外なところで出鼻をくじかれる思いをされる場面に多く遭遇しました。
どんなに準備をしてもし過ぎることはありません。
本番当日「これだけは」と感じたことをご紹介しますね。
1)名刺と資料は予備を考慮せよ
気合を入れて会場入り。そこには予想外の大人数の審査員。なんてこともアリがちです。資料は予告されている人数分+5部ぐらいは使っても使わなくても用意した方がよさそうです。
また、意外によくあるのが名刺の枚数切れや不携帯、PCやポインターの不調です。名刺は増刷の必要がある場合もありますので1週間前には残数を確認し、当日に備えましょう。
プロジェクター等を使用する際は事前に主催者に確認し、ケーブル類やWin・Mac共有かなどの確認をし、一台が不調になってもすぐに代替えできるよう、できれば2台用意するようにした方が賢明です。
2)自信は「信頼」につながる
提案を受ける側は、まず発表社の顔ぶれと表情をみます。
今後永くにわたって付き合いやすそうか? 社風に肌感が合うか? なども重要な指標にしている場合があります。
笑顔のある明るくイキイキとした表情は好感と自信を演出し,受け手に安心感を与えます。
「自信ありそうだな」「早く聞いてみたい」
と思ってもらえられたら、もう、こっちのものです。
世に名だたるプレゼンターの所作やゆっくりと大きな声は聴きやすく、ためになる事、おもしろい話、楽しいことをことごとく自信ありげに話しています。逆に、自信が感じられない態度や表情は、不安が募り相手の心を閉ざしてしまいかねません。
会場入りの前にはメンバー全員で表情や服装のチェックをしあって、信頼を勝ち取れるように心掛けましょう。
例え徹夜明けだったとしても元気を出して!
3)イントロダクション(導入部)を大事にしよう!
特に何組もの発表を聞いている審査員はだんだんと疲れてきます。
提案がかぶったりして真剣に聞かなくても先が読めてしまうことが多いからです。
そのため、話の導入部分はとても重要といえます。
話の冒頭などで笑いを取る手法は芸人に限って有効なわけではないというわけです。
だからといって無理して笑いを取る必要はありません。
「これからする話は有益な情報ですよ」という雰囲気作りです。
・今回のテーマで「消費者はこんなことを感じていると思います」というような気づきの喚起
・テーマにマッチするエピソードの実体験を話して共感を波及する
・「このようにフランクに話させてもらうので気楽にお付き合いください」とこちらの姿勢をアピール
など何でも構わないんです。
要は、発表者のあなたのペースに会場全体を引き込んで、「なるほど」と感じてもらうことが大切なんです。
受け手が聞く耳をもてば断然、競合他社より優位に立てます。
導入は緊張してしまいどうしても自信がないという時には、話の途中にちりばめれば良いのです。あなたの手振り身振りによるアクションが「おもしろかった」「ユーモアがある人だな」と感じさせるだけでも雰囲気はグッと和らぎます。
4)ストーリー立てて話す
単調でダラダラと一本調子の発表は聞き手に苦痛を与えてしまい「早く終わらないかな」「持ち時間あと何分?」と気が散りやすくなってしまいます。
子供に話すおとぎ話などは起承転結が明確で「どうなっちゃうの?」という期待感を煽ります。これをプレゼンにも応用します。
何もおとぎ話のように物語を作るというのではなく、提案の構成ををロジカルに見直すということです。
例えば
起:結御社のWEBにはココが足りない
承:そのためにこんなことが起こってしまう
転:しかしこのコンセプトでいけばもっと良くなる
結:そのためにはこのデザインが効いてくる
思いが伝わらなくては相手の心を揺さぶることは決してありません。
ましてや大容量の提案をしなければいけない場合には、ひとつずつ丁寧に説明すると持ち時間が足りなくなてしまいます。
プレゼンでは、ポイントを絞って、緩急をつけて話した方が好印象です。
補足は質疑応答の時間や提案が通った際にじっくりとすればよいのですから。
5)マナーは守る
取り立てて書くほどのことではないかもしれませんが、意外とKYな参加者がいます。
社会人の常識として徹底しましょう。
・携帯電話はサイレントモード
・発表時間は時間内におさめる
・上から目線、投げやりな態度
など
広告代理店に課せられるコンペは団体戦です。発表者以外を観察している審査員もいます。限られた時間の中での時間配分をきちんと考え、メンバー全員が前向きな姿勢で臨めるよう心掛けてください。
6)質疑応答を侮るな
発表が終わったからといって気を抜くのは早すぎます。
質疑応答も侮ってはいけません。
想定される質問に対しての準備やアドリブで即時に回答しなければならない時にこそ、自社提案の理解力や研究度合いが測られています。
回答に困った際には、その場しのぎに知ったかぶりの答えをせず「一度持ち帰らせてください」と誠実な姿勢を見せた方が良いでしょう。
また、この時間を大いに利用して時間の許す限り逆質問するのも大事なことです。「御社にこんなに関心があります」ということをアピールするためです。
何だか面接と一緒ですね(笑)
コンペの勝者は提案の内容だけで決まるものではありません。
すべてのコンペが提案内容や見積もり、ロードマップ、発展性、収益性などで杓子定規に評価されるだけなら、クライアントはプレゼンの場など設けず、はじめから提案書の提出だけで求めればいい。
みなさんの準備にかけた努力、情報処理能力、総合力(体制)そして何より「信頼してもよいのか?」という、窓口としての営業のあなたのチームをまとめる力や人間力をも評価しようとしています。
単に頭数を揃えたり、見映えのする資料を作ったり、映像や音響で凝った演出をしたりに苦心するだけでは体裁を整えたに過ぎず、審査員の心には届きません。。
むしろ見た目や奇をてらって小手先のギミックにこだわりすぎると中身がないことを露呈してしまうケースも少なくないからです。
最後は営業であるあなたの
「伝えたい思いや情熱」
にかなうものはありません。
あなたの熱意はきっと、プレゼンの演出では到底かなわない凄みとなり、期待に替えて審査員の心に深く残るでしょう。
健闘をお祈りする。