営業アラカルト

【心に残る営業秘話】クライアントにも意地あり!足元を見過ぎると結局損をする

クライアントが一番大切にしているもの・・・それは「顧客」。

中には出世や給料をいただいている会社の方針や逆らえない上司なんて者もいるかもしれないが、少なくとも私は 「顧客」 だと思っていた。

主力商品が女性のコンプレックスを解消するものであり、その痛みを理解し寄り添うことで商品の価値が上がってファン層は拡大すると少なからずも信じていた。ちょっと大げさかもしれないが自分もコンプレックスのかたまりみたいな人間なので、そうされることの喜びがどれだけのパワーを生むかを感覚的に感じていたのだと思う。

通信販売の企画拠点として東京支社(今では本社となった)の立ち上げ時代のメンバーとして広告部に配属された私は、まず商品の知名度を上げるべく広告展開するためのメディア(広告媒体)の研究から始めた。

当時はインターネットの台頭もなく紙媒体いわゆる雑誌・新聞などが広告の花形だった。これらの媒体を発行しているのが出版社や新聞社で広告の大きさや位置などを指定して広告スペースを購入するのだが、どの業界にも商習慣というものはあるもので直接クライアントと取引をしてくれる出版社は希少で、仲介役として広告代理店が登場する。

出版社としては広告スペースを白紙にすることなく広告主を見つけ、広告料金の取っぱぐれがないように保険をかけるシステムだ。新規の広告主ともなれば信頼関係もなく、なおさらだろう。それゆえ信用を築き少しでもいい条件を引き出して媒体を購入するためにはパートナーとしての広告代理店選びは重要だった。

しばらくの間、広告代理店への会社説明・商品説明によるテレアポを試みることにした。

 

まずは所在地が近い利便性のよい広告会社、お取引先から紹介された広告代理店、今まで売込みのあった会社などなど。
だが、アポイントを取って実際に会い、展開したい商品を提示してみると皆一様に引いていく空気が露骨に伝わる。

当時の通信販売と言えば今のようにオシャレではなく一般的に原色を敷き詰めたベタベタな広告が謳歌しており、加えてコンプレックス解消商品を眉唾物に思われる風潮があった時代であることは否めなかった。
紙媒体が飛ぶように売れ、黙っていても広告依頼が絶えない絶対的な位置にあった媒体社に間に入って弱小通販会社の説得するのは困難と私でも安易に推測できる。ただし、お会いできた会社はたとえ営業トークとはいえ最後まで丁寧な対応をしてくれたことに感謝したい。

 

最悪なのは日本最大手ランクに位置づけられる、ある広告代理店だった。

「通信販売ですかぁ・・・予算いくら? 前金で払えるの? 本社は地方なんでしょ・・・」

う~ん、思い出しただけでもムカついてきた。
困ってる人を助けるのは人間の基本でしょ、ましてやチカラ持ってる人ならなおさらジャン。お金を出すのはこっちなのに・・・

今思えば世の中の仕組みを知らない駆け出しの私だったかもしれませんが、創業社長と容易に話せる立場にあった私はこの代理店の名前と悔しさを報告したことを今でも覚えている。黙って手を組んで聞いていた社長

「よし、この会社は何があっても絶対に使うな。向こうから電話セールスを掛けずにはいられなくなるくらいの会社に一緒にしていこう」

この言葉は私を奮起させた。媒体担当としての私の明確な目標となり、それからはがむしゃらにただひたすらにやるべきことをこなしていった。

それから10年そこそこ
年商600億円達成するころには、あの因縁の会社からの売込みが何度も入るようになった。私以外の人間が営業を受けたとして報告をしてきても、会社名を聞いただけで聞く耳を持たなかった。これは媒体担当としての社長との約束。

すでに担当も変わってはいるだろうがあの時ここまで成長する会社だと誰が気付いただろうか。
色眼鏡で目先にとらわれ過ぎていると本当のことは見えなくなってしまうのかもしれません。犯した過ちのその報いは必ず自分に返ることにも目を向けてください。

 

クライアントにだって意地はある!

一期一会
古臭いと思われるかもしれませんが営業マンはこの心を根底に忘れてはいけないと思う。

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