表計算ソフトの代表格といえば「エクセル(Excel)」ですよね。
関数を使ったデータの集計やグラフの作成にとても便利ですが、行と列のタテヨコの「表の概念」が基本となるために「パワポ(Power Point)」のような表現の柔軟性に欠ける・・・と見栄えをあきらめている方も多いのではないのでしょうか?
データベースやマスタ台帳としての活用なら見栄えは気にする必要はありませんが、人に伝えることを目的とした説明資料にするのであればキレイに超したことはありません。
なぜならキレイな資料は読む気と信頼感を潜在的に増幅するからです。
プレゼンテーションの場面ではエビデンスといわれる証跡や根拠となるデータの重要性が問われ内容の信頼度を左右します。
そこでエクセルの活用が欠かせないわけですが実は Excel でもほんの少しの工夫で資料としての見やすさ完成度に格段の差が出ます。
ネット上にはエクセルに関する関数式や集計のテクニックまたはコツといったものがあふれるように紹介されています。その部分はお任せするとして、私はエクセルの「魅せ方」という角度からこれまでに企画の現場で培った工夫ポイントや方法を少しづつお伝えできればと思います。
よろしくお願いいたします。
今回は、エクセルを使って「アンケートフォーム」を作るコツをご紹介します。
アンケートと聞いて思い浮かべるのが
・お客様の声
・商品評価
・広告/キャンペーン調査
・認知調査
・好感度調査
・研修/セミナーに関する感想
・説明会、展示会などのイベント内容について
・社内満足度
など目的も様々です。
ですが共通している点があります。
それは、アンケートを取ったあとには必ず集計して傾向を分析し、次に生かすという用途です。
ですのでアンケートをより有効なものにするためには、アンケートフォームのレイアウトを凝るよりも「設問の意図がわかりやすく回答をしやすいこと。かつ、できるだけ集計・分析しやすくする工夫」が重要となります。設計段階から熟慮検討してから作成に取り掛かるようにしましょう!
では、具体的なポイントをみていきましょう。

質問内容の設計
①目的(何のためにアンケートをするか)
漠然と思いつきだけでアンケートを実施しても、個人情報の取り扱いについても注意が必要な昨今、お客様の名前すら入手することが難しいかもしれません。アンケートを取るのは「何を知りたいのか」を明確にしておくことが重要です。例え無記名のアンケートでもこれだけは知りたいというポイントさえ外さなければ十分に傾向を把握することができます。
(例) ・ サービスの改善点を知りたい。
・ 来店の理由を知りたい。
・ 好みの色やデザインを知りたい
など
②質問項目
アンケートに回答する立場になって考えると時間も手間も取られて面倒くさく感じるものです。それゆえに有料や何か特典をつけてお仕事としての協力依頼をする以外は、重複や漏れを省いてできるだけ質問数を絞って最小限にとどめ簡潔に答えられるように取捨選択しましょう。
③質問の順序
設問に対して順番に回答していくと、終盤になって同じような質問が繰り返されているアンケートをよく見かけます。これは回答者にとってはとても迷惑な話です。関連している内容の質問を枝番号にしてまとめたりしながらストーリー立てて回答しやすい順番を組みます。
(例)・ 基本情報(年齢や性別など)
・ 趣味嗜好の傾向
・ 興味関心度
・ 店舗について
・ 来店頻度
・ 商品について
・ ご意見/ご要望
など
カテゴリー別に質問を整理し、優先順位を決めると混乱しにくくなります。

回答欄のタイプを決める
質問に回答してもらう際にすべて手書きの自由回答(フリーアンサー)だったらどうでしょう。回答側は当然のように面倒くささを感じてしまいますし、質問側も集計の際に、回答文章の中から共通点を見つけ出し仕分けをし直すという工程が増えてしまいます。また仕分けの際の考え方で真意を正しく読み取れたかどうかがあいまいになり、集計・分析の精度を欠く結果になりかねません。
回答欄の基本はできるだけ「数字化」できるように工夫することです。選択肢の数や評価の段階数は、5~6多くても10を目安に用意し、万一、回答者が選択肢がなく迷った時のために「その他」などを設けテキストボックスを併用します。
アンケートの回答欄でよく使われるのが「ラジオボタン」「✔ボックス」「スケールスライダー」「テキストボックス」です。順にエクセルへの反映方法をご紹介しますが、「開発」というカテゴリーの機能が必要となりますので、タスクバーに「開発」ボタンがあるかどうかをご確認ください。
◆ 準備 ◆
*「開発」ボタンがなかった方はこちらをご覧ください。すでに存在する場合は①ラジオボタン以降の項目にお進みください。
「ファイル」タブの左サイドメニューの「オプション」をクリックすると
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「Excel のオプション」メニューが開きます。
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「リボンのユーザー設定」をクリックし、右側のグループに表示されている「開発」に「✔」し「OK」をクリック。
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【拡大図】
下図のように「開発」グループが表示されます
具体例としては
① ラジオボタン
⇒単一回答向けで用意した選択肢から一つだけ選んでもらう時に有効です。また、各選択肢を点数化し合計することで集計も楽になります。
<作り方>
シートの任意の場所に質問を入力し、「開発」タブをクリック
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リボンの「コントロール」グループ内 >「挿入」ボタンをクリック
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下図のメニューが開いたら「ラジオボタン」を選んでクリック
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回答欄にしたい任意の場所に「+」のマークをドラッグしたまま適当な大きさに配置します
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デフォルトで「〇オプション1」と表示されます。数字はいくつ目のラジオボタンかを表します
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文字の部分を選択して白文字に反転させ編集状態にします
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質問に合わせて選択肢となる回答の文字を入力し、選択肢の一つが出来上がりました
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同様にラジオボタンと回答のテキストを必要な数だけ作って位置を調整します
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試しに「20代」を選択してみます。「〇」に「●」マークが入力されました
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これで完成です。
One Point テクニック
【注】
初めてラジオボタンを設置された方はテストでチェックしてみたら「[ ● ] が消えない!?どうしよう」と驚かれる方も多いかと思います。
実はラジオボタンは単体では一度チェックすると固定されてしまい、複数配置することでチェックの「ON」「OF」ができるようになります。
選択肢の中から一つを選ぶという理念に元ずく設計なのだと思いますので、慌てずに複数の選択肢を設置してみてください。
【注】
設置したラジオボタンの大きさはデフォルトで固定化されており変更できません。
付帯するテキストの編集も柔軟ではないので、私はボタンだけを使い、テキストは別のセルでそろえています。こうすることで質問と選択肢の書体や大きさなどのバランスがとれ、統一感のあるアンケートにレイアウトできます。
ラジオボタンを設置した際にテキスト部を削除します
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選択肢の文字の位置にそろえて並べます
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選択肢のテキストは直接セルの中に入力します
*ここでは「セルC4~セルC6」の内に入力しています
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ぜひ、お試しください。
② チェックボックス
⇒複数回答向けで「知っているものすべてをお選びください」など用意した選択肢から複数選んでもらう時などに有効です。
<作り方>
「開発」タブ >リボンの「コントロール」グループ内 >「挿入」ボタンをクリック
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ラジオボタンの設置の際と同様に位置を調整します
ここでは2つのボックスに✔してみました
このようにラジオボタンとの違いは複数選択に適している点です
③ スケールスライダー
⇒満足度(満足・やや満足・普通・やや不満・不満)などを目安の5段階を指標に微妙な位置かを評価してもらう時に有効です。
単に5段階などの評価であればラジオボタンを5つ作った方が誤差がないのですが、例えば「普通」と感じた時に「やや満足」よりの普通なのか「やや不満」寄りの普通なのかなど、より細かく計測できます。
ラジオボタンを10以上連ねることでも対応できますが、見栄えが良くないのと回答者が選びにくくなる欠点があるため「開発」機能の中から「スクロールバー」を活用します。
スクロール バー はスクロール矢印をクリックしながら ボックスをドラッグすると、特定範囲内の位置に自由に止めることができます。
集計の際は始点から終点までの範囲を10または100としての値をスクロールしてスクロール矢印の位置を数字に置き換えて集計します。
<作り方>
あらかじめシート内に質問と回答の目安基準となるスケールをセル上に入力しておきます
テキストと罫線を上手に使ってレイアウトしてみてください
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「開発」タブ >リボンの「コントロール」グループ内 >「スクロールバー」ボタンをクリック
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「+」マークをクリックしながらドラックして、基準となる視点から終点までの位置に合わせてスクロールボックスの大きさを設定します
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こんな感じです
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マウスから指を離せば四隅とセンターの「○」マークが消えます
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試しにスクロール矢印をクリックしたまま右にずらして移動させてみます
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この通りスクロール矢印が「やや満足」と「普通」の間に移動しました。
集計時には「満足=10ポイント」と換算するとすれば「普通=5ポイント」でスクロール矢印の位置=6.3ポイントということになります
④ テキストボックス
⇒意見や感想を自由に文章で書いてもらう時に有効です。
ニュアンスの受け取り方や表現が多様で複雑なので最も集計しずらい回答形式といえます
<作り方>
「挿入」タブをクリック
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「テキスト」グループ内 >「テキストボックス」をクリック
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入力させたいセルにカーソルを合わせて
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コーナーと各辺の中心にできるマークをドラックしてセルの大きさに合わせます
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これなら文字数を気にすることなく入力してもらうことができ、たとえセルをはみ出したとしてもすべての文字を記録することができますね。

セルフチェック
アンケートが完成したら、まず自分でアンケートに回答してみましょう。
わかりやすい文章になっているか、質問の漏れや重複はないか、誤字脱字はないか、など実施前に回答者の視点で最終チェックをします。
アンケートで有効な回答をより多くいただくために大事なのが「誰でもわかるシンプルな質問にする」ということです。誤解を生みやすく複数の意味にとれるような質問は、回答しづらく途中で面倒くささを喚起してしまい、結果精度の悪い回答による集計になってしまうからです。
意外と深いですよね。
さらに、アンケートは実施しただけでは無意味です。集計をして傾向分析などを行うことで次の展開につながる価値あるものとなります。
点数方式のアンケートなら合計の大小を比較するだけでも意味を見出せますが、ラジオボタンや✔を集計するにはちょっとしたコツが必要です。これは別の機会でお伝えしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
【魅せるEXCEL】シリーズは
コチラもご覧ください
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エクセルの基本を覚えよう!
エクセルで作るキレイな 表・フォーム の作り方
いかがでしたか?
本サイトは、初心者の方を含め、誰にでもまかりやすい表現を目指しています。本文中でわかりずらい言葉などがありましたらご遠慮なくコメントをいただけましたら幸いです。
より良い記事にしていけるよう改善修正させていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。