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【書き下ろしⅠ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説(連載④/8)

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AI 金庫の贈り物

~BAR ハニー エル・ドラード編~

作:神月 無弐

◆これまでのあらすじ◆
とうとうAI金庫攻略の高ポイント傾向の法則を探り当てた主人公。さらに期限が迫る中、突然現れた謎のオンナ。敵か味方かその正体は・・・

▷【書き下ろしⅠ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説(連載①/8)
▷【書き下ろしⅠ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説(連載②/8)
▷【書き下ろしⅠ】移動中・待ち合せの時間潰しに読める小説(連載③/8)

 

第2章 狂悦 ②


☆あと3日

今日も一日が終わってしまう。ハプニングなどそうそう都合よく撮れるもんでもない。部屋に帰っても仕事のことよりも残ポイントのことが頭を離れない。

【ご登録を承認いたしました。現在 6,534枚 9,159pt―解錠充填残:841ptです】

あと 841pt か、どうしよう。だんだん残された時間がなくなってきた。まあ、一人暮らしのこの部屋であがいたところでどうなるものでもない。(一旦、落ち着こう)シングルのスプリングベッドに横になる。天井にあの子の姿が映った気がした。目を閉じてあの子が大人になったユイのことを思い浮かべる。それだけで体が反応してしまう。体を右側に向けて横向きになって右手を自由にする。ベルトを外してジーンズとパンツを腿まで下げ、一向におさまらない漲りを自分の手で上下させて慰め始める。(もうすぐ会えるよ。待っててね)
ティッシュケースに手を伸ばした。
その時!
「あなた 毎回1人じゃ切ないでしょう。ていうか、そんなことしてる場合じゃないわよね。」
(びくっとする)慌ててジーンズを引き上げ、声がする方を向くといつの間に入ってきたのか、部屋の中に真っ赤なトレンチコートにサングラスをかけた女がひとり立っていた。
「誰だ、な、なんでこここにいる!! 」
女はサングラスを外すと
「私よ、覚えてないかしら」
(わああ)見覚えがある。あの日、BAR ハニー エル・ドラード にいた女だ。

「あなたはいったい?!」
「驚かせてごめんなさい。別に取って食おうってわけでも変質者でもないから安心して。私はあなたが忘れられない写真の提供者よ。あの子の叔母にあたるわ。」
「えっ!?じゃ、あの子は幼いころ一緒に過ごしたユイじゃなかったのか」
「何の話よ」
「あの日エル・ドラードであの写真の子が僕の知り合いに変わったんだ。」
「バッカじゃないの。あんたの夢の話なんて知らないわよ」
(じゃ、何だったんだ。確かにあの子はユイになった・・・待てよ、ということは現実にあの子はいるってことか)
「そっか! じゃあ、会えるのか? あの子に」
「それはできない相談ね」
「なんでサ」
「あの子、小さいころから病弱でずっと入院してたの。ある日「楽園に行きたい」ってメモとともに病院から行方不明になっちゃった。私はどうしても腑に落ちなくて探したわ。そしたらあの子が入院していた時に慕っていた病院の若い医師があのBARの常連ってことがわかってね。だからあのBARに入り浸って探してたの、その医を。」
(なんか切羽詰まっってる)
「それとなくマスターに聞いてみたんだけど、あの堅物『お客様のプライバシーに関することは・・・』 なんてお決まりのセリフで煙に巻くのよ。あの日、偶然居合わせてあんたが私の提供した姪の写真を見てAI-金庫にチャレンジすることを知って何か手がかりだけでも見つけられればってピンときたのよ。それでしばらく観察させてもらったの。本気かどうかをね。あなたは合格よ。手伝うわ」
「はあ、??」
「だからぁ、確かめたいのよ。あの子のためなら何でもするわ」
(僕はユイを、この人はあの子を探してる。利害は一致してるわけか)
「私の名前はミカ(美華) 。さあ、作戦会議よ。」
「ちょ、ちょっと待って! 唐突過ぎて何がなんだか??」
(こんな展開って)
「この期に及んで!?まあいいっか。ほら中国のカンフースターも言ってたわ。男が戦う時は『考えるな、感じろ』よ(笑)」
(この人も砕けたこと言うんだ。僕は少しほっとした。)
「それにしても何もない部屋ね」
話が一段落してミカさんは背中を向けてコートを脱ぎ始めた。後ろ姿にユイの姿が重なる。こんな時に・・
たまらず背後から抱きしめていた。
「ちょっと!何するのよ」
「ごめんなさい、でもしばらくこうしていたいんだ。」
「痛いっ、そんなに強くしたら壊れ・ちゃ・・うっ」
ミカさんは妙に色っぽい声でちょっとだけ抵抗した。
そのあとは僕の気持ちに呼応するように抱きしめた背中からミカさんの悲しみが伝わってくる。
「寂しかったんだね。僕もだよ」
二人は何かを許し合うように泣きながら抱きあった。お互いがあの少女への愛しくて、会いたくて、その思いがおさえられない。ミカさんにはすまない気持ちがあったけど僕はユイだと思って抱きしめた。向き合ってKissする。ミカさんは聖母のようにやさしく温かかった。柔らかくてほどよく弾力のあるしなやかな体のラインを覚え込ませるようにリードして悦楽の入り口へと導いてくれた。まるでエル・ドラードのあの重厚な扉を開けるように。僕はすべてをゆだねて夢心地の中で果てた。

 

つづく

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