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【心に残る営業秘話】いざコンペ!勝負の前段階で負けないために


ぶっちゃけ コンペ(競合プレゼン)に勝つためには、
「どうしたらクライアントに受け入れられやすいか」
「これまでどのような提案が好まれたか」
「キーマンをどう説得するか」
と考えるのが一般的かもしれない。

でもそれは大事なことを見落としている大きな間違いだ。その時点で一歩負けているといっても過言ではないと思う。
これは広告主の広告部でメディアの選択と広告予算のジャッジを担っていた私が、コンペの審査員として参加するたびに感じていることだ。

高評価を得るには
提案内容の良し悪し以前にそれなりのセオリーがある

一例をご紹介するが、誤解いただきたくないのは、これを守れば全戦全勝100%勝利を約束する必勝法というわけでも保証できるものでもない。
クライアントの名もなき一審査担当の経験から得た、コンペ取り組み準備にあたっての一つの考え方としてご承知いただきたい。

コンペの勝率に悩んでいるみなさんの何かヒントとなり、今後に活かしていただければ幸いだ。

 

 

1)主催者 よりも エンドユーザー に好まれる提案

コンペというとどうしても主催社を意識してしまうのも無理はありません。主催社に認められてこそ「勝ち」が確定されるのですから。
そのため、これまでの実績に基づく傾向やキーマンの好みを追って提案を組み立てているうちにパッとしない差し障りのない提案にまとまってしまうのです。

しかしながら審査員は一人ではないし、時代が変われば担当の代替わりもする。
ただ、
どんなに主催社の内情が変わっても変わらないものが一つある。
それは主催社の先にある「エンドユーザー」だ。
原点に返れば、主催者はエンドユーザーから利益を得て、さらなる事業拡大のためにまたエンドユーザーへのアプローチ方法を求めている。
培われた商売の勘みたいなものを大事にしている企業もあるだろうが、その勘にしてもエンドユーザーとの共存によって培われたものだ。

エンドユーザーを主眼に置いた提案は内容がブレにくく説得力がある。
「基本でしょ」
と思われるかもしれませんが、まとめ上げた資料をもう一度冷静に見直してみて欲しい。わかっていても提案を練れば練るほどアイディアが重視されエンドユーザーが置き去りにされてしまってないだろうか。

 

 

2)「賞」よりも「商」を重んじるスタッフを確保せよ

プランナーやデザイナー、コピーライターといった人材には2通りのタイプが存在する。
コンクールの「賞」獲得に情熱を傾け個性を極めて名声で仕事をしたいタイプと広告が商売に関与する喜びを知るタイプだ。
どちらかに優劣があるわけではない生き方の違いなのだから。

だが、この時代、肩書や権威だけでモノを売るのは難しい。ネームバリュウに固執すると好き嫌いにより評価が大きく分かれてしまうばかりか、どんなに奇抜なアイディアやデザインもエンドユーザーに受け入れられなければ自己満足の域を抜けない。
コンペを想定した場合は、主催社からの指名要望でもない限り、後者を選んだ方が得策といえる。

クライアントにとっては「商い」につながる案こそがすべてであり、エンドユーザーに広く受け入れられる提案を求めている。

 

 

3)情報は求め続けよ

コンペ準備に入ったからといって通常営業を絶やしてはいけない。
日々刻々とビジネスは動いている。
主催社側もコンペの期間は公平性をより強く保つために情報を潜めるものだ。当然、ズバリの情報などはクチにしないだろう。

と、しても普段の営業活動の中でなら多少気を許してしまうこともある。その中から何かしらのヒントが見つかることも多いものだ。
「それはそれ、これはこれ」と割り切りながらどれだけ情報を引き出せるかも営業力ではないだろうか。

 

 

4)提案骨子は少数精鋭のチームで

意思決定をすべき営業でありながら、自分の意見を持たず人任せでコンペに臨む営業がいる。そして自分で考えることが苦手な人間に限って、人を集めたがる。社内外のキーマンを複数集めてアイディアを出し合えば魔法のように素晴らしく仕上げてくれると思っている。
「三人寄れば文殊の知恵」というが確かに理論上は人数が多いほどいい知恵も集まるだろう。アイディアの数で勝負したいのであればそれもアリかもしれない。

ここで注目したいのは数ではなく質だ。
与えられたテーマに準じて創造性や構成力を競うコンペにおいては、人が増えるほどしがらみや思惑、趣味趣向が交差してアイデアは妥協案とならざるを得なくなることが常で、誰の心にも刺さらない平凡なものになってしまう。「百害あって一利なし。」である。

少人数の場合、スグに集まってタイムリーな打合せができ、意見交換もしやすい。大所帯のチームではどこか他人任せにしがちな点も少人数では自分が何とかするしかないという責任感が生まれる。
そのプレッシャーの中で試行錯誤することでおのずと案が磨かれる。そしてそれを仕切る中心は常に営業担当であって欲しいと思う。

 

 

5)パート別の作業も最後は統一感をもってまとめよ

マーケティングパートにメディアパート、クリエイティブパート。プレゼンを構成する各パートを小規模のチーム編成で分担作業する場合も多いかと思う。

ここでの落とし穴は「まとまり感」だ。それぞれのエキスパートが知恵を絞ってパート部を作り上げるのだから無理もないのだが、個性がバラバラでまとまりがなく複数社による共同作品と思ってしまうような仕上がりになっているケースをよく見かける。

例えるなら 国際エキスポ の パビリオン のような案だ。テーマは同じなのに、考え方、見せ方があまりにも違い過ぎる残念な提案といわざるを得ない。

また、発表者は取りまとめられた資料などを上手に生かすために、内容確認を兼ねた話し方の練習を鏡の前で行うことをおススメする。
鏡に映っている自分の目を見ながら、表情や姿勢をチェックする。思わぬ資料の見落としや構成順序、話し方の変なクセなどの改善点が見つかると思う。

 

急いては事を仕損じる
仕事がデキルといわれる人たちの多くに「段取り上手」があげられます。「段取り八分・仕事二分」という言い方があるように、準備に注力することは成功の近道といえるかもしれません。
苦労は多いかもしれませんが準備段階で詰めた分、提案に磨きがかかりチームに自信と連帯感が備われば、プレゼンテーション当日に自然と「本気度」は伝わるものです。

提案のメリット、デメリット、付帯作業、プレゼン当日の動き・・・あらゆるケースを想定し、先を見て組み立てることは総合的な対応力をも強化します。

 

プレゼン後の結果を受けてガッツポーズをとっている自分、拍手で迎えてくれる主催者の顔、そしてエンドユーザーの笑顔を思い浮かべてみましょう。
スポーツ選手ではありませんが、勝利へのゴールイメージを描き演出するのも大事なことだと思います。

健闘をお祈りする。

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