営業アラカルト

【心に残る営業秘話】天使かアマゾネスか?!営業スタイルを決めるのはキミ次第!

メディア関係者、広告代理店、印刷会社、ノベルティー業者など様々な営業担当者とお話しできるのは、当時クライアントとして媒体担当をしていた私にとって密かな楽しみでもあった。

・自社の利益を最優先に損得勘定でかけ引きするタイプ
・クライアントの顔色ばかりを窺ってチャンスをねらうタイプ
・とにかくガツガツ必死でくるタイプ
・絶対服従型のYESマンタイプ
・調子とノリで押してくるタイプ
・職位をみて態度を変えるタイプ
・ブランドもので身なりを固めた見てくれ勝負のタイプ

・・・などなど

 

これに男女の特性・人柄・育ち・品といったものがが加わり、経験と業界の知識がトッピングされると実にいろいろな営業スタイルがあることに驚かされる。

営業さんには申し訳ないが、まあ、どんなタイプが来ようとこちらはクライントの立場で会うわけですから力関係は明確にならざるを得ません。ですが できるだけ対等な立場で本音で商談できることを私は望んでいました。

また、心に余裕をもって交渉に望める分、自然と観察眼も磨かれます。
特に初対面の印象は意外と大事で、長年多くの方々とお会いしていると怪しさというか胡散臭さは敏感に感じてしまう ものです。

たまに良い方向、悪い方向、問わず期待を裏切ってくれることもありますが大方外れることはありませんでした。

私の場合、中でも一番扱いに困ってしまったのがコレ、女性軍団営業だった。

・女性チーム で攻勢をかけてくる

・女性らしさを武器に最大限活用

・接待の誘いがやたらと多い

が基本パターンなのですが、

時には
エレベーターのエントランスで偶然私を見つけた振りをして

「ハク (*アカウントネームでお許しください) 様、こんなところでお会いできるなんて光栄です。本日こそ お名刺いただけますか」

と周りの人間にわざと聞こえるように大きな声とオーバーアクションで訴え、

時には

「お食事会楽しみにしてるんですけど~、いつだったらいいですかぁ?」

と身内のように甘え、

時には

「企画を通してくれないのはきっとライバル会社の女性営業の方が好みだからなんですよね」

と悪びれる様子もなく拗ねてみせ、
ケアレスミスの注意を促すと責任者と若手を引き連れて女性ばかりの大お詫び大会。
提案をお断りすれば泣き出さんばかりの落ち込みポーズ。

あ~面倒くさい。

確かに異性に対しては無意識でやさしくなったり、いいところを見せようとしてしまうのは人間の性(サガ)だろう。だからと言ってそこを交渉の場面で利用するのはどうかと思うし、こちらが強く言えないと思ってやりたい放題といった姿勢に私はひいてしまう。

決して悪いことをしているわけでも枕営業しているわけでもないので出入り禁止にするわけにもいかない。
今の時世ならば逆セクハラといっても認められるだろうが。。。

もちろん、そういう営業を好む輩もクライアントには少なからずいるだろう。
だが、そういう輩は社内の評判が悪く素行に問題があり、平気で利権を強要して私腹を肥やし、失脚していくタイプが多いのも否めない。
絶対的に優位な立場を武器に弱い立場の足元を見るような担当は、同じクライアントとして実に恥ずかしくなる。

まあ、広告代理店もそれを想定内での営業スタイルとして営業をかけているのなら、それは同じ穴のムジナ同士。何も言うことはない。勝手にやってください。長く続くことはないでしょうけど。

話は戻って
私はこういった営業には たとえ紹介であっても面談回数を減らして遠ざけながら取引を避けるように努めた。

しかしながら、同じ女性営業にも記憶に残っている者がいる。

中小の広告代理店で見習いをしていたMである。
直接の接点はほとんどなかったのだが、私がこの会社を訪れた際に先方の社長から紹介された女性だ。小刻みに手が震えていた名刺交換がいかにも新人らしく初々しかった。

そこでの商談を終え会社に戻ってメールをチェックすると、すでにMからお礼メールが届いていた。私は差し障りのないお礼と新人さんへのエールを返信したと思う。始まりはその程度の記憶しかないのだが

「その節はありがとうございました。御社の業界について教えていただきたいことがありまして。。。相談にのっていただけますでしょうか」

「今度、研修で営業に同行させていただくことになりました。一度でも御社にお伺いできることになり、とても嬉しくて今から緊張しています。当日はよろしくお願いいたします。」

などなど質問や相談、季節の変わり目には体を気遣ったメールが届くようになった。

ヤル気がある人材は大歓迎!!

私はできるだけ時間を割いて彼女の質問に回答し続けた。
それ以来、顔を合わすことさえなかったのに、どこで調べたのか私の誕生日や結婚記念日などには必ず手書きのカードや手紙を贈ってくれた。

そしてMが当社の正担当に抜擢された時には、これまでのやり取りで業界の勉強と情報収集に励んでいたことは明白だった。あらためて当社についての考え方やポリシーを教えることなど何もなかったのだから。

研修中の彼女が自身で考え自然にそうしたのか?先輩に知恵を借りたのかはわからない。
だとしても主たる営業担当の邪魔をしないように決して出過ぎることなく、対面や会話を使わない文面だけのさり気ないやり取りで強く印象に残す彼女流の営業だったといえる。

Mの勤める広告代理店の社長様談によると、のちに仕事を覚えて成長した彼女は、営業が天職かのようにどこからも頼りにされエースとして大活躍しているそうだ。


世間一般のイメージのように顔を突き合わせて交渉したり、接待して良好な関係を築くことだけが営業ではない。

「限られた環境下でどれだけ相手の立場を思って行動できるか」

が基本のひとつであることを実感させられる。
クライアントとしては、こういう営業とならぜひ苦楽をともに仕事したいものだ。

営業諸君!

「クライアントの窓口担当は選ぶことができないが、営業スタイルを相手に合わせることはできる」

ぜひ、商談相手と真剣に向き合い相手の望む営業スタイルを見極めて欲しい。

一途に自己流を通すだけが王道ではない。
相手に合わせて演出できるのも営業の技術である 
ことを覚えておいて欲しい。

健闘をお祈りする。

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