営業アラカルト

【心に残る営業秘話】恥を知れ!倫理・道徳心はないのか?営業くん

 

年度替りですね。

改組、新卒受け入れ、新メンバー研修と何かと忙しい時期ではないでしょうか?新たな体制で取り組む顧客開拓には何かと準備が必要です。

会社のご案内から提案する商品やサービスの企画書や資料まで、できる営業担当者なら自分のトーク内容に合わせたコンポジットのようなオリジナル資料をご準備しているのではないでしょうか。

資料といえば、当時クライアント側の広告宣伝部で媒体担当をしていた私には忘れられない出来事がありました。

「ハクさん(*アカウントネームでお許しください)、本日はご提案をお持ちしました。他社では入手できない貴重なデータのエビデンス(証跡)もありますので、きっと御社にとって有益と思われる企画です。」

以前、スポット的なオリジナル企画で何度かお取引のある広告代理店からの提案だった。
そこまで言われたら、興味をひかないわけがない。
女性の美容と健康をテーマに悩み解決型の商品を販売していた当社には競合も多く、他社に先んじた企画は売上を左右する。

私は、商談を楽しみに迎えた。

「・・・かくかく云々で絶対におススメできる企画です。」

「なるほど。それでエビデンスがあるとおっしゃっていましたが」

「はい。門外不出といわれているんですが、ハクさんは特別です。どうぞご覧ください。」

そういって提示されたのだが

「あれっ!?

ちょっと待って  この資料

どなたが?」

データ出典元は隠されていたが、紛れもない、自分が社内決裁を円滑にするために自社顧客のデータベースから抽出したそれこそ門外不出の集計データ だった

こんなことってあるんだろうか!?

広告代理店の資料など提案が通るまで複数の企業に使い回しているに違いない。
ふざけた話だ。(怒)
いったい誰がどうやって入手したんだろう?

しかもほとんど加工されていないそのままの状態だった。

「データの提供元は明かせないのですが、業界ではトップクラスの信頼ある企業のデータだそうです。スゴイですよね。」

そりゃそうでしょ。

  私がまとめた資料ですから

「えっ!?」

「ですから、コレ、私が社内用に作成した極秘資料なんですよ。
なぜ御社が提案資料に使ってるんですか?使用許可等のお問い合わせをいただいた経緯もないですよね。
もっとも問い合わせがあったら絶対にお断りしていますけど」

「そんな・・・、あの、私は会社のマーケティング担当が用意した資料をお持ちしているだけで・・・」

「さっきまでと違って、歯切れが悪いじゃないですか。これは軽視できない問題です。入手経路と経緯、この資料を使って提案した先をご説明ください。」

「すみません。一旦社に持ち帰らせていただき、きちんと調査したうえでご報告とお詫びに参ります。」

「わかりました。

その前に現時点であなたがわかっている範囲のことは今ここで教えてください。この資料を使って提案に回ってるのですからそれくらいはわかるでしょ。」

当時は情報資産の保護に関する関心がそれほど高くなかったが、クライアントの立場から言わせてもらえば、会社の顧客情報から知り得た集計データなどを無断で転用使用し、自分たちの商売に活かしていたのだから、完全な裏切り行為だ。
どこの会社も取引の際にはNDA(秘密保持契約: Non-disclosure agreement)を締結していると思うが、そんなものがなくても善悪の判断など容易にできるだろう。信頼関係もあったものではない。

先方は観念したように、提案先数社の名前を白状した。

後日の調査結果でわかったことは、今回提案に訪れた広告代理店と厚意にしている別の広告代理店が当社とパートナー契約をしており、たまたま私が出席していない商談の席で、研修中の新人部下に資料提供を求め、それに応えて言われるがままにデータで提供してしまっていたということだった。

盲点は身内にもあった。猛省して、データ管理についての指導を徹底強化した。

それにしても、経験不足であるがゆえに正しい判断のできない新人を利用したのは確信犯的だろう。
水面下での業界のつながりもかなりのものだ。
「この企業が倒産した」「あの代理店が危ないらしい」「こんな資料あるよ」などの情報は瞬く間に伝わる。
この仕事・ポジションは本当に人間不信に陥る場面がある。

【教訓】

・社内データや資料の管理は徹底する

・新人(*新卒以外も含む)は仕事を覚えるまで一人で対応させない

 

クライアントが書いた企画書や資料は広告代理店にとっては貴重な情報源となる。

私の資料のように同業他社への二次提案資料として別のところで使用されてしまうケースもある。これは「敵に塩を送る」ように日々の企業努力をみすみす競合他社の儲けにつなげることになりかねない。
クライアントのご担当者は要注意だ。

私は、この件以来、自分が作った資料の中には自分にしかわからない暗号を盛り込むことにした。そのため部分的に抜粋使用されたとしてもある程度はわかる。
今の時代、紙ベースで提供したとしてもPCに取り込んでソフトを駆使すれば加工はわりと簡単にできてしまうからだ。

企画書や提案資料はもとより、名刺、会社案内、各種のカタログ、パンフレットといった営業ツールは、営業活動を効率的に進めて結果につなげるものです。
本来、人の作ったものを転用しなくても自分の営業スタイルや顧客に合わせたコンポジットを用意して臨むのが理想だ。オリジナリティのある資料は何物にも替え難い説得力を発揮するものだ。

本サイト(Q-Site)にも営業ツール制作に関してたくさんのご相談をいただいているので、お困りの際にはお問い合わせフォームにて相談してみるといいかもしれない。


サービス紹介 ⇒ 相談・お問い合わせフォーム


営業諸君!

年度替わりのこの時期に、営業ツールや自社資料の見直しをしてみてはいかがだろう。

健闘をお祈りする。

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